大正モダンの椿柄

最近と言うより、ここ数年来、大正モダンが流行中です。
平成の時代にも似た、日本でも短く景気の良かった自由な気風に満ちた時代で、当時の銀座を歩くモガの格好は、現代のマリンルックに酷似しているものもあって、時代の差を感じさせないくらいです。

ところで、この時代には、これまで着物の柄として描かれなかった洋花が大きく描かれたのが特徴と言えます。
いくら現代化が進んだとはいえ、まだほとんどの人が和服を着ていた時代、西洋化の影響は、着物の柄や装飾のリボン、バッグなどの小物等から始まったようです。

■椿は大正ロマンのデザインソース

明治時代末頃から活躍していた有名な画家、竹久夢二の絵も、この頃の女性の風俗をよく描いていました。
大きく斬新な着物の柄と、黒猫との対比が印象的です。
なぜこの時代に大きな花柄、特に椿が描かれたのかが、ずっと不思議だったのですが、調べてみると、薔薇などの洋花が装飾モチーフとして日本に入ってきたばかりの頃、日本で似た印象の花は椿だったからなのではないかと推測されていました。

そのためなのか、現在リバイバルされる大正モダン、レトロ浴衣の柄には、この時代を彷彿させる大柄の椿柄をよく見かけることになります。
レトロ和柄の小物類もまた、椿柄がデザインされて頻繁に採用されています。

■椿柄好きずき。

ショッピングセンターの浴衣コーナーに通りかかると、大きな赤い椿の柄の浴衣に、椿の花飾りをセットにしたマネキンがディスプレイしてあり、実のところ自分はギョッとしてしまう方です。
そのくせ、ペットで金魚を飼っていたことから、金魚柄は平気で可愛いと思うため、勝手なものです。

赤い椿というと、若い頃勤務していた会社の社長が、レンタルグリーンの会社が持ち込んだ見事に花を咲かせている大きな椿の鉢植えを、縁起が悪いと怒って取り換えさせていた記憶が強く残っています。
私自身は、はっきりくっきりとした椿の花は好みだったのですが、この件以来、椿にはあまり良いイメージを持たなくなりました。
子供のころ読んでいた椿姫という悲しい小説も関係していたかも知れません。

■椿=カメリア=シャネル

しかし、西洋で椿はカメリアと呼ばれ、かのシャネルのモチーフ柄としても有名です。
日本にも、カメリアをブランドマークとして一世を風靡した、クレイサスがあります。
成功の秘訣は、シャネルにも似ていますが、可愛くて華やかなカメリアの花のブランドマークでした。
レトロに関係なく、女性はこうした華やかな花の形が好きなようです。

ちなみにデュマ原作の椿姫では、高級娼婦であったマルグリットは、生理の日は赤い椿を、そうでない日は白い椿を髪飾りとしていたため椿姫と呼ばれていたと描かれているそうです。

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